2017年10月30日

ニュージーランド空軍の次期輸送機

ニュージーランド空軍で使用するC-130輸送機は導入してからの使用年数が50年を過ぎていて、その後継機選定をしていて本来なら今年の夏ぐらいには決まっていたハズなのですが、秋になっても一向に情報が出てきませんね。

むしろ使用年数がC-130ほど経っていないP-3哨戒機の後継機のほうが先に決まってしまう始末。まだ確定ではありませんがP-8になるみたいですね。逆に言えばC-130の後継機選定では相当迷ってるって事なのかな?

って事で後継機の候補と噂されている機種を見比べてみましょう。あと、政府専用機であるボーイング757の後継機も選定しているみたいなので、そちらも一緒に。

ニュージーランド空軍の次期輸送機

ニュージーランド空軍の次期輸送機

C-130の後継機の2大候補とされているのは同じロッキード・マーチン社のC-130の最新型であるJ型と、ブラジルのエンブラエル社のKC-390ですね。2機種の大まかなカタログデータは↓

C-130J-30(長胴型)は
全長 34.36m
全幅 40.41m
全高 11.84m
最大速度 660km/h
最大積載量 20t
最大航続距離 6445km
実用上昇限度 8540m
エンジン AE2100-D3・4910馬力ターボプロップエンジン×4基
機体の値段 130〜160万NZドル

KC-390は
全長 33.43m
全幅 33.94m
全高 11.43m
最大速度 850km/h
最大積載量 27t
最大航続距離 6019km
実用上昇限度 10973m
エンジン V2500-E5・139.4kNターボファンエンジン×2基
機体の値段 116万NZドル

ですね。C-130Jは長胴型である-30型と比べると大きさは両機とも殆ど互角(KC-390は後退翼ゆえ全幅が短い)ですが、最大速度、最大積載量、実用上昇限度ではKC-390が圧倒的に優れていますね。逆にC-130J-30の優れている点は航続距離が420kmほど長い点とエンジンが4発ゆえの長距離飛行時の安全性でしょうか。

機体の値段は既存の機体の改良型であるC-130Jのほうが安いのかなと思ったら、意外や意外、新規開発のKC-390のほうが安いのですね。こうなるとコストパフォーマンス的にはKC-390のほうが圧倒的に優れているのですが、今までのメーカーとの繋がりも考えるとC-130Jも捨てがたいのでしょうね。

政府専用機であるボーイング757の後継機にも似たような事が言えます。前のブログで757の後継機は737のビジネスジェットになるんじゃないかと書いたのですが、ニュージーランド政府としては757の後継機も本格的な輸送機にしたいみたいです。

って事は政府高官の長距離の移動とかはニュージーランド航空のチャーター機でも利用するのかな? まぁ、一部の中小国でもそうしてる所はあるので、その可能性は高いです。

ニュージーランド空軍の次期輸送機

ニュージーランド空軍の次期輸送機

で、757の2大後継機候補はというと、エアバスミリタリーの問題作A400Mと我らが日本の川崎C-2らしいのですが、この2機種のカタログデータを比べてみると、

A400M
全長 45.01m
全幅 42.36m
全高 14.68m
最大速度 780km/h
最大積載量 37t
最大航続距離 8700km
実用上昇限度 11300m
エンジン TP400-D6・11000馬力ターボプロップエンジン×4基
機体の値段 230万NZドル

C-2
全長 43.9m
全幅 44.4m
全高 14.2m
最大速度 917km/h
最大積載量 36t
最大航続距離 9800km
実用上昇限度 12200m
エンジン CF6-80C2K1F・推力22680kgターボファンエンジン×2基
機体の値段 187万NZドル

です。こちらも大きさはほとんど変わらないですね。川崎のC-2のほうが最大積載量が1tほど少ないだけなのに、最大速度、最大航続距離、実用上昇限度で圧倒していますね。おまけに機体の値段まで安い……。もはやコストパフォーマンス的な事を考えるとC-2一択しかないように見えますが、エアバスのブランド力やエンジン4発による長距離飛行時の安全性など侮れない部分もあります。

ニュージーランド空軍の次期輸送機

以前はニュージーランド空軍は同空軍のNH90中型凡庸ヘリコプターが搭載出来るということでアメリカ空軍の大型輸送機・ボーイングC-17(生産終了・在庫なし)を欲しがっていたのですが、C-2と比べると最大速度はC-2のほうが僅かながら優れていて、最大航続距離はC-17のほうが僅かながら優れている感じなのですよね。

機体の規模とエンジンの合計推力から考えると、C-2の最大航続距離と最大速度はたいしたもんだなと思います。C-17はエンジン4発ゆえの燃費の悪さもあるとは思いますが……。ちなみに、このC-17はNZドルだと300万NZドルします。デカいだけあって流石です。※C-17の最大積載量は78tになります。

アメリカ空軍には223機のC-17が配備されているらしいのですが、ニュージーランド空軍は2機欲しがっていたので、その内の2機をリースしたり中古で販売することもあながち不可能ではないと思うので、C-17も757の後継機候補になっている可能性も未だにあるかもしれません。

そういえば、来月から国外運航訓練としてC-2が11月8日から17日まで、ジブチとアラブ首長国連邦に、11月25日から12月1日までニュージーランドを訪れるらしいですね。アラブ首長国連邦ではドバイエアショーにも参加します。

ジブチは自衛隊の海外基地がありますが、C-2の航続距離だとギリギリ届かないので途中で1回給油することになりますが、アラブ首長国連邦がある中東の東側やニュージーランド最大の都市オークランドと首都ウェリントンがある北島には飛行中に何も問題が無く、現地の天候が安定してさえいれば無給油で行ける距離ですね。

ニュージーランドからヨーロッパ(ニュージーランドの反対側はスペイン)へは更に倍の距離か掛かるので、機体のパーツの補充や修理の面ではC-2に分があるかな?

ニュージーランド空軍が次期輸送機に搭載したがってるNH-90ヘリコプターはA400Mには搭載できる事が機体のテストで確認(ただし、プロペラブレードを外した状態で)されているので、もしかしたら来月末のニュージーランドへの渡航で、ニュージーランド政府によりNH-90をC-2に搭載できるかどうかのテストを現地で行うかもしれません。

搭載できたら、「C-2買おーっと。」っとかニュージーランド政府も思ってたりして。(笑) あとは選定基準としてはニュージーランド的に南極でも運用可能か? 基地の格納庫を改造や新設せずに運用可能か? などですかね。※C-130や757を運用する部隊はオークランド郊外の北西部にあるウェヌアパイ空軍基地で運用しています。

ともかく、最新の情報では来年の夏ぐらいまでにはC-130と757の後継者を決めるみたいなので、気長に待とうと思います。ちなみに、個人的にはC-130JとA400Mに決まるのは面白くないので、KC-390とC-2になってもらいたいですね。

ちゃんちゃん。





Posted by ヒラシン at 21:10│Comments(0)
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